小児歯科は、お子様を対象とした歯科診療科目ですが、ただむし歯治療を行うわけではありません。大切な歯がむし歯にならないよう予防処置を行ったり、噛み合わせの悪化を予防したり、永久歯への正しい生え替わりを促したりと、お子様の歯の成長を支える様々な治療と処置を行います。永久歯が正しく生えそろうように、いつまでも健康な歯でいられるように、その基盤作りのお手伝いをさせていただきます。
「小児の虫歯予防の原点は、母親にある」と言ったら、驚かれるでしょうか。
生後10ヶ月〜31ヶ月の間に、むし歯菌であるミュータンス菌が母から小児へと感染することで、お子様の口へとむし歯が移ってしまうのです。小さなお子様がいらっしゃる場合は、口移しなどで食べ物を与えないように気をつけてください。
問題は、一旦強く感染してしまうと、ブラッシング位ではミュータンス菌を減らすことはできず、"一生ミュータンス菌を抱えて過ごしていかなければならない"というリスクにあります。
逆に、上記の期間を無事に過ごす事が出来れば、サングイス菌(虫歯にとっての善玉菌)が定着しやすくなり、虫歯になりにくい口腔となっていくのです。
食後の歯磨きは、歯の病気の原因となるプラーク(細菌の塊)を取り除き、お口の健康を守る大切な習慣です。お子様の発達に合わせて歯磨きのしつけをしてください。
1歳
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ブラシを持たせて慣れさせましょう。 |
2歳
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自分で磨こうとします。一緒に磨いて真似をさせると歯磨きが習慣になります。 |
3歳〜5歳
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乳歯が生えそろう時期。自分で磨くようにしますが、磨きは不十分です。 必ずチェック磨きをして、磨き残しがないようにします。 |
6歳以上
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永久歯が生えます。子どもの「自分で磨く」気持ちを大切にしましょう。 仕上げのチェック磨きは最初の永久歯(六歳臼歯)を中心にしてください。 |
子どもがきちんと歯磨きができるようになるのは、かなり大きくなってからです。それまでは、お母さんが必ずチェック磨きをしてあげてください。歯と歯のすき間、歯の裏側、奥歯の磨きにくいところなどは、特にていねいに磨いてあげましょう。毎日のチェック磨き(仕上げ磨き)がお子様の歯を守ります。親子のコミュニケーションにもなります。
虫歯の原因
乳歯は大人の歯(永久歯)より小さく柔らかいものです。さらに子どもはおやつなどで糖分を口にする機会が多く、自分で上手に歯磨きができないことがあり、たいへん虫歯にかかりやすいのです。加えて乳歯の虫歯は進行がとても速く、虫歯にかかっても自覚症状が出にくく、痛みを感じたときには歯髄炎にまで進んでいることもあります。また上の前歯や奥歯は特に虫歯になりやすいので、家族の方が注意して見てあげることが必要です。